中央区明石小保存問題と建築学会、東京建築士会の対応方法の問題

2010年平成22年夏のことです。中央区立明石小学校が建て替えのため解体工事に着手されました。その前日、建築学会長S氏、東京建築士会長M氏の名前で、解体工事反対の声明が出されました。私は建築家、技術者の専門団体が、社会の発展のため、自らの専門家の地位確立のため、公正な契約推進のため、適切な建築設計者選定方法確立のため、政治的発言を大いにすべきという立場です。

しかし、本件については問題でした。①タイミングの問題です。行政手続きが進んでその最終段階で反対と声明を出すことは問題です。②保存、解体建替えと両論あります。いずれの選択にせよ苦渋の選択だったと思います。そうした中、一方の立場に与し、区長や区政の立場を苦しくするのは専門家のすべきことではありません。③学会長、東京建築士会長は行政手続きについて無知です。公共工事はある時突然着手するものではありません。行政は3年後、5年後を見据えて基本計画、実施計画を作成、議会や区民、専門家と意見交換をし、公式決定します。秋予算案を作成、2月の議会の予算委員会で予算一つ一つについてその妥当性、必要性などについて質疑をします。予算委員会で案が承認され、本会議で再度議論し、採決承認されます。もし、解体、建て替え反対で保全をすべきと主張するなら、基本計画、実施計画策定時、あるいはその前から学会として、建築士会として意見表明をし、継続的に保存活動をすべきでした。

今後、こうした問題が繰り返されると思います。専門家団体は、タイミング、手続きを間違えないで様々建設的な政策提言をしていただきたいと期待します。

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