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「新建築」2004年11月 

COLUMN
ストックホルムでの東京の都市模型展「東京スタイル・イン・ストックホルム」レポート
原田 敬美


はじめに
 スウェーデンの首都、ストックホルムにある建築博物館において8月5日から9月26日まで東京の都市模型展が開催された。この模型展は「東京スタイル・イン・ストックホルム」という東京のポップアート紹介イベントの核となるものであった。建築博物館はスペインのラファエル・モネオが国際コンペで入賞し、1998年に竣工した。建築博物館としては規模的に世界でも有数の建物である。
 ストックホルム市は人囗76万人、市域は188k㎡である。私はスウェーデンへ留学した経験と、前港区長という立場で「港区の都市発展」というテーマの講演と模型展開会式の挨拶、さらにイベン ト全体の開会式の挨拶を依頼された。

講演 「港区の都市発展」
 講演は8月4日' 建築博物館で「港区の都市発展」と題して1時間行った。東京とストックホルムの比較論で、主な視点は対極に位置付けられる都市計画の手法である。ストックホルム市は「計画された都市」であり、300年をかけ土地公有化を行いながら詳細に計画をつくり、具体化してきた。
 一方、港区は東京の都心にあり、江戸時代の大名屋敷町という歴史を継承しながら戦争で焼け野原となり、戦後、都市開発の転換点が2度あった。まず、東京オリンピックが行われた1964年に一定の基盤が整備され、次に今日、60〜70年代に整備され老朽化した都市施設、建築が今後、快適性、 情報化対応、バリアフリーの求められる時代に適合するために都市再生が行われている、という内容である。特に2003年に完成した「六本木ヒルズ」や、汐留、品川駅東口の大型開発についても言及した。

ストックホルム市の最近の都市開発動向
 ストックホルム市は同市の都市計画局長ペメ一ル氏によると、1950年代から60年代は放射状に延びる地下鉄沿線の駅を中心としてニュータウンをビーズ状に建設したが、今後の戦略は都心再生であり、その焦点はインフラ整備済みの都心ウォーターフロント地域の未利用工業地域の再開発である。具体例として中央駅から4駅目という立地の優れたハマービー海浜都市(シ一・シティ)で、水辺に8,000戸、人口2万人、職、住、商、マリーナなどの複合機能を持ち、しかも、水のリサイクルなどエコロジーに配慮した再開発計画がある。

模型展
 「東京スタイル・イン・ストックホルム」における目玉の展示が森ビルが制作した港区を中心とする1/1,000の巨大模型である。8月5日14時に開会式があり、ストックホルム県知事、大塚日本大使等がご出席の中、私が開会の挨拶を行った。初日は3,000人の来館者があった。これは同市の人口規模を考慮すると驚くべき数である。また、建築博物館という専門博物館であるが高齢者や小さな子供連れの家族が目に付いた。来館者には脆弱な基盤、小規模建物の密集、そうした中での再開発事業等、東京都心区の現状が理解されたと思う。また連日マスコミにも取り上げられ、模型を通して多くの市民に東京に関心を持っていただけた。

講演会と模型展総括
 スウェーデンは徹底した自由思想、個人主義の国だが、建築都市計画はすべて行政決定で個人の自由はない。ストックホルムは「Planned City」である。一方、東京では建築都市計画の規制は、極論を言えば、建蔽率と容積率だけである。細分化された狭小敷地で地主は自由裁量を持ち、行政は一切関与できず乱雑な街が形成されている。つまり東京は「Unplanned city」と言える。また、76万都市ストックホルムに存在する世界を代表する立派な建築博物館を見るにつけ、1,200万都市東京にも建築博物館を是非という気持ちを持った。

「東京スタイル・イン・ストックホルム」
 このイベントの目的は東京とストックホルムの文化とビジネスを繋げる交流モデルの構築である。市内の美術館や公園、レストランなど80以上の会場で展示やイベントが展開された。その分野は音楽、建築、アート、ダンス、ファッション、ガーデニング、テクノロジー、デザイン、食文化、写真映像に及び、アニメ、コスプレなど東京の多様な大衆文化も紹介され、日本から400人が参加した。
 開会式では、クリスティナ王女、知事、日本大使らと共にテープカットに参加し、挨拶を行った。また連日、市長、知事主催のレセプションに日本からの参加者が歓待を受けた。特に、市長はノーベル賞受賞晩餐会で有名な市役所(1923年、ラグナー・エストベリ設計)の「青の間」で、知事は築300年の知事公舎 (テシンパレスと称し1697年竣工、王宮に隣接し王宮と同じ建築家テシン設計で内装が王宮と同じである。庭はバロック様式)という歴史が生きている建築を使っての歓迎である。建築家として大変興味深く建築、インテリア、庭園を堪能した。
 東京においても諸外国の都市文化を気楽に紹介するイベントが開催され、国や自治体がそれを全面的に支援する仕組みの必要性を感じた。

 写真(ストックホルムの最近の都市再開発の事例「ハマービー海浜都市」の様子 エコロジーに配慮した人口2万の複合部市)―省略
 写真(東京スタイル・イン・ストックホルム全体開会式の様子。市内ニュウプロブラン広場にて 左からクリスティナ王女、主催者クムリン氏、ヘレストレム知事、筆者、大塚日本大使、副市長、デザイナーの浅葉氏)―省略


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